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自主の会

JISHU NO KAI

自主・平和を促進するために多くの国と民族が集う

4月22日、豊島区民センターにおいて21世紀自主フォーラムが主催して「世界の自主化と平和に関するシンポジウム」が開催されました。

 シンポジウムには、外国からマッテオ・カルボネリ・ローマ大学名誉教授、アレクサンドル・ヴォロンツォフ・ロシア科学アカデミー東洋学研究所部長、マリア・アントニエッタ・ヴィッティ・ローマ地区元公証人・博士、メキシコのエレアサル・ルビオ・アルダラン弁護士、ナジェリ・エランディ・ヒメネス・フアレス・メキシコ国立自治大学アシスタント、日本国内から尾上健一・21世紀自主フォーラム世話人をはじめ全国各地で自主と平和のための活動をおこなっている各界人士、アイヌ民族、ネパールの先住民族などが参加しました。

米国の覇権主義に支配されてきた日本とイタリア

はじめに「ヨーロッパにおける自主・平和について」と題してマッテオ・カルボネリ教授が講演し、つぎのように述べました。

イタリアと日本は地理的には遠く離れていても、いろいろな面で共通性をもっています。第2次世界大戦においては枢軸国を形成して連合国と戦い、ともに敗戦国となりました。敗戦国が従属し、米国の覇権主義が他の諸国を席巻するという構図は、すでに第2次世界大戦の末期から始まっていました。

米軍基地があることにより、これらの国々の領土が、米国と敵対する国々の軍事目標や攻撃対象になるという危険性が高まっています。米国は、はるかかなたから戦争の指令をおこなうだけで、実際に戦場と化すのは、イタリアや日本などで、米国に代わって前線の塹壕となリ大砲の弾除けとなるという、破壊と死のリスクを背負っているのです。

他国による決定に依存することなく、自らの力に依拠し、 他国の自主や自主権を相互に尊重しあってこそ、自国の自主を確かなものとすることができます。

これらの目的を達成することは容易ではありません。特に、イタリアのようにヨーロッパのシステムが深く入り込んでいる国では、また日本のような国でも同様であると想像できます。

この目標に近づくために、あらゆる努力を結集していくことが重要だと思います。下からの運動をおこし、新しい政治戦略をうちだすことのできる大衆組織を再構築することが必要です。

ロシア系住民を解放するための特別軍事作戦

つぎにアレクサンドル・ヴォロンツオフ部長が、「ロシアの現状とグローバルサウスとの連帯、ウクライナ紛争解決の展望」と題して講演し、つぎのように述べました。

ロシアは、プーチン大統領が述べているように、ウクライナの東部や南部に住むロシア系住民を守り、わが国の安全を確保し、2014年のマイダン・クーデター後にウクライナに定着したネオナチ政権からの脅威を排除するために、特別軍事作戦を開始しました。

世界の約4分の3を占めるグローバルサウスの国々が、米国やアングロサクソンとその取り巻きから、前例のない圧力、脅迫を受けているにもかかわらず、対ロ制裁に参加しないことを選んだことは理にかなっています。

彼らは、この問題が新興国の国際秩序に関するものであるという事実をよく理 解しています。将来の世界における彼らの地位は、このたたかいの結果次第です。このたたかいの結果は、新しい多極化した世界の中で、自分たちの伝統や価値観を守り、宗教を公言し、母国語で子供たちに教育を施すことができるか、それとも、欧米資本の相や大統領が、自分たちの生活や経済を運営するために、欧米に媚びて自分たちの国民を犠牲にするか、従属した立場をとるのかを選呎することになるでしょう。

つぎにマリア・アントニエッタ・ヴィッティ博士が、イタリアの世論は武器輸出に反対しており、誤ったプロパガンダの危険性に声を上げるべきだと述べました。

外部勢力の干渉に反対するメキシコ人民

つぎにナジェリ・エランディ・ヒメネス・フアレス女史が、メキシコの多くの女性が性暴力や暴行を受けているきびしい状況を語り、メキシコでは国家再生運動(MORENA)を中心にして、外部勢力の干渉に反対して自主を打ち立てる革命が始まっており、女性、青年層から高齢者にいたるまで、労働者、宗教人、民族企業家にいたるまで、団結するようになってきたと述べました。

つぎに、「日本の政党の現状と課題」と題して浜岡原発を考えるネットワークの鈴木敏和氏が報告し、これまで地域に根づいて運動をおこなってきたことについて語りました。

社会運動は進歩的思想を信念とする新しい世代によってきり拓かれる

最後に「自主時代の日本の社会運動」と題して尾上健一氏が報告し、つぎのように述べました。

これまで偉大な思想家、革命家は、先代の思想に学びつつ、新しい時代をきり拓くためにたたかってきました。そのたたかいの中核となるのは青年の隊伍です。

 金日成主席は14歳の時、革命の道に入りました。1930年、「朝鮮革命の進路」を発表し、青年たちを革命の中核として育成し、彼らを基盤にして広範な人々を網羅して活動をおしすすめました。金正日総書記は、金日成主席の革命思想を発展させ、チュチェの思想、理論、方法の全一的な体系、金日成主義として定式化しました。金正恩総書記もまた金正日総書記に学びながら、金正日総書記の時代とは異なった新しいたたかいを展開しています。

 2021年1月、バイデンは世界戦略の中心をアジアに移し、統合抑止戦略をとることを表明しました。統合抑止戦略とは同盟諸国に軍拡をおし進めさせ、軍事衝突が起こった場合には同盟国に戦争させ、米国は背後から指揮するというものです。今後は中国を攻撃する際に日本が最前線を担うことになります。

グローバルサウスの国々は、自国を自主的に発展させる努力をいっそう強めていく必要があります。自国の置かれている条件を大きく考え、大国に囲まれているからといって、バランスをとることを考えるのではなく、自国人民を信頼し、依拠して、みずからの道を行くことが大切になるでしょう。

チュチェ思想を深く研究し、自己の信念とする青年の隊伍をつくることが、日本においても世界においても先行的課題として提起されます。若い世代の隊列が国の未来をつくり、新しい時代をひらいていくのです。

チュチェ思想を現実に適用するうえで、最初に提起される課題は、自国を自主化することです。人民大衆を主人としておしたて、団結させ、人民大衆に服務する活動をおこなってこそ、チュチェ思想を自主化の運動に適用することができます。人民大衆を主人としておしたて、団結させることなくして、一部の政治家が国のかじ取りをしていくことは、結局、帝国主義に従属し、人民大衆から離れることになります。各国が自主化された後は、人民大衆が真に政治の主人になる、人民政権を樹立する社会革命をおこなわなくてはなりません。人民政権樹立後は、民衆の自主性を完全に実現するために社会主義・共産主義をめざすたたかいが求められます。

感動の涙があふれた歌謡浪曲「ああ広島」

シンポジウムの終わりには、浪曲師の真山一郎氏が、歌謡浪曲「ああ広島」を熱演しました。

演目の「ああ広島」は中澤啓治原作「はだしのゲン」をもとにつくられた作品です。「広島に原爆が投下されて妻が死に、息子は成長して上京し元気に生活していましたが、被爆した影響で白血病になり亡くなったという生活のプロセスを歌謡浪曲で歌い上げ、本当に日本が平和なのか、平和が続くのか」と問いかけました。

白血病で亡くなった息子の遺骨とともに広島へ帰る場面、「原爆の悲惨さを伝えるために広島へ一緒に帰ろう、父ちゃんは命がけでたたかうぞ、永遠に平和を、ああ広島、女房を返せ!子どもを返せ!」と熱唱し、参加者に大きな感動を呼び起こしました。

民族芸能の交流と懇親

シンポジウム後、日本在住のロシア音楽家による歌と踊り、アイヌ民族による舞踊とムックリ演奏、沖縄・八重山舞踊、日本舞踊が披露され、懇親会がもたれました。

今回のシンポジウムは、イタリア、ロシア、メキシコの各地域で自主化のための活動に取り組んでいる研究者が参加し、日本と世界を自主化、平和化するための運動を力強くおしすすめていく契機となりました。